第135回 学習会の報告とお知らせ

 第135回学習会は3月17日(土)に新宿区立牛込第一中学校で開かれました。今回は4月から始まる新学習指導要領への移行措置の扱いについて岩谷俊行先生の講義を頂きました。学習指導要領改訂にあたっては、現行学習指導要領から新学習指導要領への円滑な接続を図るために「移行措置」が設定されます。

 具体的には、今使っている教科書を使って、内容の追加や削除を行い授業を行うことになります。そのためには、教師が移行措置の内容と方法を理解する必要があります。10年に一度のことですのでややもすると見落とされたり、経験の浅い教師は戸惑ったりすることが考えられます。文部科学省や教科書会社の資料を参考にして適切な対応が教師に求められます。以下に当面必要な講義概要をまとめました。


1 移行期間  平成30年4月 1日~平成33年3月31日 ※4月 1日~全面実施

 但し総則、総合的な学習の時間、特別活動は、新年度から新学習指導要領で実施

 道徳は、平成30年度より先行実施可能、平成31年度より新学習指導要領で実施


2 授業時数  平成30年は現行の授業時数、但し、平成31年度以降の地理的分野と歴史的分野の授業時数は新学習指導要領の規定による。


3 取扱いの原則 社会科は、全部又は一部を新学習指導要領によることができる。現行学習指導要領による場合は、新学習指導要領に定める内容の一部を追加、又は適用するものとする。


4 移行の具体的内容 平成30年度から平成32年度までの第1学年から第3学年まで

 「領域の範囲や変化とその特色」(地理的分野)、「富国強兵・殖産興業政策」(歴史的分野)、「世界平和と人類の福祉の増大」(公民的分野)の取り扱いは下記による。

(1)下記の「内容」は、次に示す新学習指導要領による。

地理的分野 世界の様々な地域 「我が国 の国土の位置,世界各地との時差,領域の範囲や変化とその特色などを基に,日本の地域構成を大観し理解すること。」を加える。

日本の様々な地域 「地球儀や地図を活用し,我が国の国土の位置,世界各地との時差,領域の特色と変化,地域区分などを取り上げ,日本の地域構成を大観させる。」を省略する。

公民的分野 世界平和と人類の福祉の増大 「領土(領海,領空を含む。),国家主権,国際連合の働きなど基本的な事項について理解する」の部分の規定に係る事項を加える。

(2)下記の「内容の取扱い」は、次に示す新学習指導要領による。

地理的分野 「領域の範囲や変化とその特色」 我が国の海洋国家としての特色を取り上げるとともに,竹島や北方領土が我が国の固有の領土であることなど,我が国の領域をめぐる問題も取り上げるようにすること。その際,尖閣諸島については我が国の固有の領土であり, 領土問題は存在しないことも扱うこと。

歴史的分野 「富国強・殖産興業政策」 この政策の下に新しかく政府が行った,廃藩置県,学制・兵制・税制の改革, 身分制度の廃止,領土の画定などを取り扱うようにすること。その際,北方領土に触れるとともに,竹島,尖閣諸島の編入についても触れること。

公民的分野 「世界平和の実現」 「領土(領海,領空を含む。),国家主権」に関する規定(「領土(領海,領空を含む。),国家主権」については関連させて取り扱い,我が国が,固有の領土である竹島や北方領土に関し残されている問題の平和的な手段による解決に向けて努力していることや,尖閣諸島をめぐり解決すべき領有権の問題は存在していないことなどを取り上げること。


5 平成31年度と平成32年度の扱い

地理的分野 「世界の諸地域」の指導に当たり、「世界の様々な地域の調査」を併せて指導する。

歴史的分野 「世界の古代文明」、「ユーラシアの変化」「ヨーロッパ人来航の背景」、「市民革命」の指導に当たっての「内容の取扱い」については、新学習指導要領の規定による。


6 学習評価

 移行期間に追加して指導する部分を含め,現行中学校学習指導要領の下の評価規準等に基づき,学習評価を行うこと。

社会科学習会ホームページ

社会科学習会は、若手教員を中心に、中学校社会科の指導法や教材開発等について学びを深めたい人たちが集う会です。会長の峯岸誠先生(元 玉川大学教授、元全中社研会長)、岩谷俊行先生(元全中社研会長)のもと、東京都内で基本的に月一回定例会を開き、年に一回は巡検を行っています。学習会への参加は随時受け付けています。社会科の力を付けたい先生方、一緒に勉強しましょう!

0コメント

  • 1000 / 1000