第126回 武蔵国分寺・国分寺崖線ミニ巡検

5月20日(土)午後,武蔵国分寺及び国分寺崖線のミニ巡検を行いました。歴史的分野では「奈良時代の聖武天皇の政治」地理的分野では「川が作る地形(河岸段丘)」の指導に使えそうな資料が満載の巡検でした。

※今回の記録:足立区立中学校M先生と管理人

① 西国分寺駅で,現地ガイドの佐々木さんと合流し,出発しました。

② 西国分寺駅から南東に少し歩くと,広大な敷地内に団地,専門学校,都立多摩図書館とともに,広い歩道を持つ道路が出現します。これは古代に整備された東山道から武蔵国府へとつながる東山道武蔵路の跡です。東山道武蔵路とは、かつての上野国と武蔵国府をつないだ官道のことです。その幅は約12mで,現在は側溝の位置に模様が残っており,その広さを感じることができます。どのくらいの人や馬が行き来したのでしょう?

③ 続いて,武蔵国分寺跡へ。武蔵国分寺跡に行く前には,現在の「国分寺」を経由しました(現国分寺は医王山最勝院国分寺という真言宗のお寺になっています)。この国分寺は,国分寺崖線の上に建てられていて,境内から仁王門に向かう階段を見ると,崖の上にあるお寺であることがよく分かります。(この崖線の下に武蔵国分寺跡がある。)

④ 奈良時代に聖武天皇の詔によって全国に国分寺が作られました。今回訪れたのはその1つ,武蔵国分寺です。もともとの武蔵国分寺は1333年の分倍河原の戦いで消失しています。その後,1335年に新田義貞によって薬師堂が再建されるも衰退し,1756年にまた再建されています。現在残っている建物は,国分寺崖線の上にある薬師堂のみとなっています。そこから国分寺崖線を下っていくと目の前に野原が広がっています。その野原にあったのが,武蔵国分寺の伽藍です。現在整地が完了しているのは講堂や鐘楼の付近です。発掘調査を進める中で,礎石などの位置よりその建物の大きさなどを把握することができました。

写真は武蔵国分寺の講堂跡に立つ会員。講堂の基壇は瓦を多用してできていました。瓦は関東一円から届けられ,寺が建てられたのだそうです。

⑤ 写真の看板の奥に見える森が国分寺崖線で,湧水源となっています。ということで,続いては崖線の湧水と武蔵国分寺跡資料館をめぐります。

⑥湧水が流れるわきにある遊歩道は「お鷹の道」と名づけられており,江戸時代の鷹狩場であったことからのネーミングです。

⑦武蔵国分寺跡を後にし,武蔵国分寺跡資料館に向かいました。こちらにはかつての武蔵国分寺の模型があり,その全景を眺めることができました。また,塔のミニチュアのほか,出土した瓦や文書が展示されていました。実際に瓦に触ることもできました。

 この資料館で興味深かったのは,武蔵国の郡の中に,高麗や新羅という朝鮮にあった国の名前を冠したものがあったことです。これが意味するのは,朝鮮からのたくさんの渡来人がやってきて日本に大きな影響を与えていたということです。

⑧ その後,お鷹の道を進み,湧水群がある場所に向かいました。ちなみにこのお鷹の道では,蛍やカワニナが見られるそうです。

 道を崖線の方に進むと,たくさんの水が流れているところに行き着きました。ここが国分寺崖線の湧水群です。今回は真姿の池(ますがたのいけ)周辺を見学しました。水が透明で,暑い気温に比べると水はだいぶ冷たかったです。近くの湧水のところでは,地元の子供たちが水辺で遊んでいるほほえましい姿もありました。

 なぜ湧水群があるかというと,国分寺崖線の上に降った雨水が地中にしみこみ,それが下の層からあふれ出ているからです。逆に崖線の上では水が手に入りにくく,農業には向かなかったそうです。崖線の上の開発が進み,森が少なくたっため湧水は少なくなり,現在湧き出ている場所はかなり減少しています。


⑨ ガイドの佐々木さんと別れ,一行は国分寺駅を目指しました。途中では最近まで湧水の水路だったが枯れてしまったと思われる水路跡を発見したり,フクロウがいる喫茶店などの珍しいスポットも発見しました。日立研究所からくる湧水と合流し野川となる「不動橋」のあたりでは,石橋供養塔を発見しました。常に人に踏まれている石橋を供養する意味と,石橋を渡って村内に疫病や災いが入り込むのを防ぐ意味がある(引用:国分寺市ホームページ)のだそうです。

⑩ この後,国分寺崖線を北に上り,殿ヶ谷戸庭園を見学し…と思ったところで,閉園の時間になってしまったため巡検は終了。次の機会に楽しみは取っておくことになりました。


感想 今回のミニ巡検には,官道や国分寺,渡来人との関わり,地形と農業の関係など中学社会科に通ずる内容が盛りだくさんでとてもよい勉強となりました。


<参考資料>

今回の巡検で歩いた範囲の様子は,次の地図がわかりやすいです。

・国分寺市教育委員会ふるさと文化財課作成 史跡周辺案内MAP 

・国分寺市が作成している「国分寺歴史・観光マップ」 

また,国分寺崖線の様子については,

国土地理院 地理院地図(色別標高図とのレイヤ)をご覧ください。


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