第125回の学習会は4月24日(日)に新宿区立牛込第一中学校で開催されました。平成29年度初回の今回は18名の参加がありました。今回の記録は,K先生(品川区立義務教育学校所属)です。
今回は前国立教育政策研究所初等中等教育部長、4月1日からは独立行政法人「教職員支援機構」で次世代型教育推進センター上席フェローをされている大杉昭英先生を講師にお迎えして、「改訂学習指導要領のめざすもの」という主題でご講演をしていただきました。
まずは資質・能力の明確化がなされたことを中心にお話をしてくださいました。今回の学習指導要領の改訂の背景を具体的な事例を通して説明してくださり、AIなどが今後ますます発展していく中、知識を使いこなす能力の必要性が高まっていることを改めて認識させられました。また、知識・技能(コンテンツ)と資質・能力(コンピテンシー)が両輪のように働いて学びに向かう力(意欲)になることをスライドで示され、3つの資質・能力「知識・技能」「思考・判断・表現」「学びに向かう力・人間性」の関連性が理解できました。
次に資質・能力を育てる学習指導の考え方という視点でお話をしていただきました。なぜアクティブラーニングが必要なのかについて「能力はそれを働かせる学習指導の中で育つ」という言葉が印象に残っています。最近ではアクティブラーニングという言葉だけが独り歩きして、活動ありきのような授業が見受けられこともあります。社会科で身に付けさせる資質・能力を明確にし、それを発揮できる場面を授業内で入れなければ、アクティブラーニングとは言えないことがわかりました。また、見方・考え方を働かせた深い学びの実現については、地理的分野を具体例に挙げ、「何について、どのように」「何を活用して考える」という大切な要素も教えていただきました。ただ生徒に考えさせるのではなく、各分野に示されている「見方・考え方」を通して、知識や概念を活用して考えさせることが重要だと感じました。
最後にこれからの社会科授業づくりという視点では、具体的なアクティブラーニングの授業を示していただきました。問いから答えに至る流れの中で、重要な知識・技能、追究の手続き(視点と方法)、思考・判断・表現をもたらす活動を取り入れることが重要であることが示され、これから具体的に授業を設計していく我々にとって、大きなヒントをいただきました。
参加者からは最後に、「深い学び」や「見方・考え方」についての質問が出されました。どの質問にも具体的な例を挙げて説明してくださり、最後まで有意義な時間となりました。今日の講演の内容を意識し、今後の教材開発・教材研究に努めようと感じました。大杉先生にはお忙しい中、休日にもかかわらず様々なことをご教授していただき、本当にありがとうございました。
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