第146回社会科学習会は、平成31年3月16日(土)に新宿区立牛込第一中学校で開催されました。今回は「会員の実践発表」として二つの発表が行われました。一つは、昨年秋の東京都金銭金融教育発表会の報告、二つ目は木村 諭先生(江戸川区立上一色中学校)の「全国中学高校Webコンテスト~探究・協調学習の過程と成果をWebサイトに~」という実践報告でした。木村先生の実践報告はこれからの社会科教育の現実的な取組に一つの示唆を与えるものでした。以下に概要を記します。
1 東京都金銭金融教育発表会及び1年間の活動報告
2017年度に続き、東京都金融広報委員会の研究グループとしての研究発表を行いました。報告のポイントは、社会事象を学習対象とする社会科の考え方の柱として三分野で「ひと・もの・おかね」を取り上げることで生徒の思考を現実的なものにすることができるという仮説のもとでの実証報告でした。
昨年度は、渡邊智紀先生(お茶の水女子大附属中)の「日本の中世」の市(商品流通)の働きを通して「ひと・もの・おかね」の観点から考察させた授業と横山将太郎先生(都立深川高校)の公民科の授業を報告しましたが、今年は授業研究として、「なぜ、カカオ農園の子どもはチョコを食べないのか?」という主題の地理的分野の事例(品川区立豊葉の杜学園 金城 和秀先生)を発表しました。また、知見を深めるための活動として、「改訂学習指導要領④ ―公民的分野を読み解く― 」と題した玉川大学教授(前教科調査官)樋口 雅夫先生の講演、生産・流通・市場・地球温暖化などの視点から千葉市川の梨栽培農家の見学を行い、学びを深めました。
次年度も、歴史的分野や地理的分野での発表をしたいと考えています。是非、会員の皆様は今から計画をしてください。
2 「全国中学高校Webコンテスト ~探究・協調学習の過程と成果をWebサイトに~」
研究成果をホームページの形で報告・発表するという試みのコンクールで12月下旬に予選があり、予選通過チームは1月下旬の本選に臨むことになります。全国から中学部門に119チームが参加しました。上一色中学校は3チームがエントリーして、1チームが予選通過、本選で銀賞を得ました。
(1)「全国中学高校Webコンテストとは」→ホームページおよびパンフレット参照
・生徒が課題を設定
・情報の収集→整理・分析
・まとめと発表 Webページを作る、プレゼンテーション
・部門は二つ 問題解決部門・教材部門
(2)「全国中学高校Webコンテスト」の特徴
☆特徴 ・長期間にわたる調査・研究
・Webページの作成
・コンテスト(テーマの設定が重要、審査員が存在)
・グループ学習(3~5名で1チーム)
⇒思考力や判断力をつける
⇒アクティブ・ラーニング、主体的な学び・共同的な学び・深い学び
⇒審査員に審査してもらい、成果になる
(3)上一色中学校出場チーム
・2年生チーム 「Unity」入門 読書部員、男子3名 →全国大会銀賞
・1年生Aチーム 「江戸川区の水害について」読書部員、男子5名
・1年生Bチーム 「北方領土問題とは」 運動部の男子4名
(4)成果と課題
① 成果(2年生チーム)
・プロジェクトをやり遂げる力
・能力の構築(期限内に調査を行いまとめ、Webページを作成。プレゼンテーション)
・生徒の自信がついた。次年度への意欲
・外部環境を知った。
【生徒の感想】
・良かったこと:「銀賞を取れた」「出場したことで少しだけ自信がついた」「缶バッジをもらえた」
・身についたこと、得たこと:「プレゼンの流れ」「他人の発表を聞いて、理解することが身についた」
② 課題
・必要とされる時間のやりくり
・Webページの知識
・必要とされる環境の問題(使用出来るPCおよびソフトウェアのインストール、LAN環境がない)
・生徒自身に、社会的事象に関する
① 適切なテーマを設定させ、
② 調査・分析を行い、
③ 成果に向けての論理構成をさせて、
④ 発表させる
ことの難しさ。
3.発表を聞いての感想
たいへん目新しいコンテストでした。入賞校の多くは国立大附属であったり私立中高であったりする中で、公立中学校では貴重な成果を得ました。環境の整備と指導時間の確保が課題の様でした。
(峯岸 記)
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