第 208 回学習会の報告と次回以降のご案内

 第 208 回社会科学習会は,1 月 24 日(土)に新宿区立牛込第一中学校を会場として行われました。新年を迎えて最初の社会科学習会でしたので,峯岸会長の 新年のご挨拶で始まりました。

 今回は,港区立小中一貫教育校赤坂学園赤坂中学校の飯野 豪士 先生と江戸川区立葛西中学校の天川 真由香 先生に実践発表をしていただきました。両先生は,学生の時代から社会科学習会に参加していただき研鑽を積まれ,東京都の教員として飯野先生は二年目,天川先生は一年目として教育活動を進めています。飯野先生には,「自閉症・情緒障害学級における授業実践」という主題で,天川先生には,「自ら考えることは何か、1 年目の授業を通して」という主題で実践発表をしていただきました。以下,その要旨を報告いたします。


1.飯野豪士先生の発表 「自閉症・情緒障害学級における授業実践」

 令和6年度に現任校に配属され,小中一貫校特別支援学級の7~9年生(4組)の社会科を担当しています。また今年度から,2年生の通常級の社会科も担当しています。本校の特別支援学級は,知的発達に遅れがない自閉症や選択性緘黙の生徒8名を対象としていて,何らかの苦手な面をもっていますが,授業のペースや内容,評価規準は通常学級に準じています。通常級の指導と評価の計画は,4組の指導と評価を意識して行っています。担当する教員は2名で指導にあたっており,通常学級との交流授業も多く行われています。

私は,すべての生徒が「社会は楽しい」と思える授業を目指しています。1年生と3年生は特

別支援学級単体での授業で,近い距離感で,それぞれの生徒の特性に合わせながら,教科書や

資料集の事例について議論しながら授業を進めています。ワークシートは生徒の特性に配慮し

ながら,使いやすさに配慮し,毎時間の問いについて考えたり,解答は一つではなく生徒にゆ

だねる部分を入れたりする形をとったりしています。

 授業で心掛けていることは,会話をすることです。一方的に話さないことや,授業以外の話も取り入れながら,生徒の気持ちに配慮しています。また,遊びや活動を取り入れています。3年生では、株を買うシミュレーションを行ってみました。

 2年生は通常学級の生徒と一緒に交流授業を行っています。通常級の生徒の学力を上げることはもちろん意識していますが,4組の生徒を置き去りにしないことも同時に心掛けています。また、交流授業を通して,生徒間の交流を深めたいと考えています。

 具体的な授業実践の取り組みとして,黒板の左側を板書スペースとしてノートやプリントへの記入をさせ,右側をプロジェクターのスペースとして,パワーポイントでの説明を取り入れています。単元を貫く問いや1時間ごとのめあてを立て,それらに対する解答を授業終わりに書かせています。また,単元の中で最低1時間話し合い活動を入れています。また,授業はじめに確認問題を実施しています。満点の生徒に花丸をかくことで,生徒とのコミュニケーションの場ができたり,意欲を高めたりすることができ,学力向上にもつながりました。

 特別支援学級の担任を務める中で,教師が生徒の特性を認めることの大切さを感じました。また,その時々の生徒の様子に合わせて授業を変えていくことも必要だと感じています。

 一方,特別支援学級と通常級の交流授業の運営の難しさも感じています。支援級の生徒とは授業だけでなく,学活なども含めてコミュニケーションを深くすることなども意識するようにしてバランスをとっています。逆に,一般級の生徒との関わりは増えたことで,生活指導や教育相談などの面で学びが多くなりました。

 1年間授業をしてみて,年間指導計画の見直しなども含めて,全員が楽しめる授業の探求を続けたいと思っています。また,教材研究の足りなさを痛感しているので、さらに進めていきたいと思っています。


2.天川真由香先生の発表 「自ら考えることは何か、1 年目の授業を通して」

 13 学級の小中学校併設型の中規模校で,第3学年の副担任を務めています。私の社会科観として,大学時代に歴史学を中心に学んできたことから,「パブリックヒストリー」の考え方を大切にしています。そのため,史資料の活用を取り入れ,映画の予告編なども授業に取り入れています。歴史を自分事として歴史を落とし込んで考えてほしいと思って実践していますが,なかなか難しさを感じています。

 3年生の公民的分野の授業では、チョーク&トークでは授業が成立しないと感じていたため,活動型の授業を夏休み以降実践することに挑戦しました。三枝利多先生の実践を参考に,ご本人からも助言を頂きながら授業開発を行いました。授業では,プリントと板書を使って進めています。自分で考える欄を作る工夫をしています。

 2年生の地理的分野では,週に1回地誌を担当しています。生徒自身が関心のあることとの関連付けを大切にしたり,ビジュアル資料を活用したりしましたが,生徒に学習の意義や学習内容と自分とのつながりを感じさせることが難しかったです。また,週1回ということで,学習したことのアウトプットをどのようにするかが課題でした。

 初年度を振り返って,教育現場をイメージできる状態で飛び込めた(採用前に教育ボランティアで現場に3か月ほど入っていた)ことが大きかったと思います。授業に活用できる様々な資料を見つけること,授業で生徒との関係をよりよく構築し,主体的な活動を充実させることが課題です。また,板書の構築の仕方について,さらに研究をしていきたいと思います。


今回の発表で助言していただきたいこととして,

 ① 知識の理解の過程で資料をどのように選定,提示するか

 ②授業におけるプリントやノート設計

 ③ 板書の方法,本時の学びが一目でわかる板書とは?

 ④ 生徒の主体的な活動において、教員はどのようにしてアプローチを行えばよいか

ということが示され、参加者からアドバイスをいただくことができました。


 次回は2月14日(土)15時から,牛込第一中学校にて,第209回社会科学習会を行います。

内容:会員の実践発表

発表者:東京学芸大学附属世田谷中学校 金城 和秀 先生

発表主題:「社会認識の深化を目指した公民的分野における単元開発の実践研究ー『個人の権利と社会善』の視点を手がかりにー」


 多くの先生方に参加していただきたく,ご案内いたします。

社会科学習会ホームページ

社会科学習会は、若手教員を中心に、中学校社会科の指導法や教材開発等について学びを深めたい人たちが集う会です。会長の峯岸誠先生(元 玉川大学教授、元全中社研会長)、岩谷俊行先生(元全中社研会長)のもと、東京都内で基本的に月一回定例会を開き、年に一回は巡検を行っています。学習会への参加は随時受け付けています。社会科の力を付けたい先生方、一緒に勉強しましょう!

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