第127回の学習会は6月17日(土)に新宿区立牛込第一中学校で開催されました。今回は、東京都金融広報委員会事務局長の大澤裕次氏に、「社会科と金銭金融教育」というテーマでご講演いただきました。本年度、社会科学習会は「金融教育研究グループ」に選定され、学習会後、委嘱状が交付されました。(今回の記録 足立区立中学校勤務 K先生)
1.金融教育研究グループに期待すること
「金融教育研究グループ」の目的として、①金融教育に関するモデル教材・授業の開発・実践、②金融教育に関する公開授業の開催、③東京都金融・金銭教育協議会における研究成果の発表の三点が説明されました。研究内容は、公民的分野はもちろん、例えば歴史的分野の手形の歴史、地理的分野の貿易についてなど、幅広く教材や授業の開発・実践が求められていることが解説されました。
2.金融教育の意義
「金融教育」とは何を指すのでしょうか。大澤氏は、金融教育は「お金」という視点から、以下の点を考えることが重要と言います。
①希少資源の配分を通して社会の公正や経済合理性を考えること
②個人の生活・地域や社会との関係を考え、主体的に社会に関わろうとする態度を育てること
③グローバルな資金の流れを通して国際社会の仕組みや変化を理解すること
の三点です。この学習を通じて、生徒に「生きる力」と「社会とかかわる力」を育成することが最終目的になります。
3.「お金と経済」・「お金と個人」
以上を踏まえて、マクロな経済の仕組み「お金と経済」とミクロな個人の行動「お金と個人」を学びました。
「お金と経済」では、景気の変動、賃金・物価・金利の仕組み、収入と支出、金利や株価といったトピックを学びました。
「お金と個人」では、労働者の一生と個人の収入・支出、ライフプラン、退職後の生活費、収支の把握、家計管理といった、具体的な収支や家計について学びました。労働者の生涯賃金は平均で約2億5000万円、支出は2億1000万円、生涯では収入の方が多いとされます。ただし、定年後(65歳以降)は支出が収入を上回るので、老後費用の6600万円をどう賄うかがポイントです。
4.最近の話題~「成年年齢の引き下げ」・「巣立ち教室」~
早ければ2017年の臨時国会で、成年年齢を18歳に引き下げる民法改正案が提出されます。高校生から売買契約が可能になるため、消費者トラブルが多発することが予想されます。そのため、中学生段階から、「成年」や「契約」の意味、ライフデザインに関する基本的な知識、社会的・職業的自立について学ぶことが今後必要になります。
最後に、大澤氏よりメッセージとして「教壇に立たれる皆さんは、偉大なる常識人であれ!」という言葉をいただきました。
0コメント