11月 第120回例会 全中社研岡山大会報告

  第120回の学習会は,11月26日(土)に新宿区立牛込第一中学校で開かれました。先月17・18日に行われた全中社研研岡山大会で,都中社研公民専門委員会が発表を行いましたが,その内容を金城和秀先生からうかがいました。また、地理的分野と歴史的分野の公開授業を中心とした岡山の研究内容を,現地に赴いた中野先生,岩谷先生から報告して頂きました。

1 公民的分野の発表報告  都中社研の研究主題である「国際社会を生き抜くこれからの生徒を育てる社会科教育のありかた」を受け,公民的分野が取り組んでいる研究と検証授業の内容が報告されました。発表の後の議論では,ESDの視点とのかかわりをどのように意識しているのかや,議論を支える根拠となる知識をどのように習得させたうえで活用させているのか,深い議論になっているのか。という質問や意見が出され,今後発表が予定されている新学習指導要領の内容にもつながる議論が展開されました。

発表から ~公民的分野では,学習指導要領の全ての中項目についてパネルディスカッションを取り入れた授業を構想し,検証を行っています。27年度には「国民の生活と政府の役割」と「世界平和と人類の福祉の増大」の 2つの検証授業を行いました。「国民の生活と政府の役割」ではテーマを「財政健全化のために、まず何をやるべきか」とし,パネラーの立場をこれまでの「40代会社員、子供2人」とか「70代 病気を抱えている」などの属性を明らかにするのではなく,「消費税を10%引き上げるなど歳入面」,「社会保障費の削減など歳出面」としました。授業の評価には2つの観点を設定しましたが,大変良い結果が示されていました。「世界平和と人類の福祉の増大」ではテーマを「地球温暖化を解決するために、省資源・省エネルギーを推進すべきである」とし,立場を「アメリカ」「ドイツ」「中国」「ブラジル」「バングラデシュ」「ナイジェリア」の国とし,COP21を意識して授業を構想しました。評価は2観点を設定し,大変良い結果が示されていました。この単元の授業の最大の課題は3年生の3学期で生徒が揃わないことです。東京ならではの課題かもしれません。


 2 岡山大会地理的分野の授業  中国地方を「他地域との結びつき」の視点から取り上げた授業でした。岡山大会の研究は,「なぜ(疑問)」に答える「解」を習得する過程を繰り返し設定することで社会認識を形成する力,新たな疑問や課題を発見する力,学びを他に応用する力を身に付けさせるという内容でした。

 公開授業は飼料会社の水島進出を題材とし,「3か所のどこに工場を建てたか。その理由は」という主発問に仮説を立てさせ,その後に4つの資料を提示し,資料から候補地の水島・坂出・神戸の地域的特色を読み取り,結論を導き出させるものでした。ちなみに資料は、A「工業用地の価格」,B「坂出と水島のトウモロコシ輸入量」,C「港の水深」,D「各港から半径100㎞の範囲と高速道路網」でした。2つのミニホワイトボードに「仮説」と「結論」を書かせ,上下に掲示して思考の流れを明確にする板書の工夫がありました。


 3 歴史的分野  鎌倉時代の文化を取り上げ,「なぜ鎌倉時代には仏教が武士や庶民に広まったのか」を課題として構想された授業でした。資料に一遍上人絵伝をもちい,踊る念仏衆とそれを見ている人々から武士や女性,尼僧などを読み取らせ,「なぜ」を引き出しました。その後,題目,念仏,禅で新仏教を括り,広まった理由を考えさせ,まとめさせました。最後の設問は「今後、仏教の信者は増えるか,減るか」というものでした。

~この問いに対して,皆さんはどう考えますか?(現代までの期間で考えるか,当時の限られた期間で考えるかによって,この問いに対する答えは変わってくることが考えられますね。)

この設問を解いている最中に男子生徒が立ち上がって先生のもとに近づき,何事か質問していました。授業後には生徒から先生に表彰状のようなものが渡されていました。採用3年目の先生とのことです。 


4 おまけ  今回の研究大会は,岡山県としては13年ぶりの大会でした。前回の大会で授業等を担当した先生が今回は研究や運営の要となっていました。また,4人班,ホワイトボードは3分野全てで用いられていました。最近は,アクティブ・ラーニングを促す動きもあり、このような授業形態が顕著です。しかし,内容教科である社会科としての研究がやや希薄という印象を持ちました。 

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