第117回 公開講演会の報告とお知らせ

 第117回の学習会は、夏季公開講演会として8月5日(金)に新宿区四谷保健センターで開催されました。例年は7月末に開催していましたが、夏季休業に入った直後は所属校等での研修や行事があり参加が難しいという声がありこの時期に設定しました。 講演については、社会科教師としての見識を広めることを意識して講師の選定や内容の設定を行ってきました。

今年は、インドで無料の学校を支援しているNPO法人・日印教育支援センター理事長の山本宏之先生を京都からお迎えしました。概要は次の通りです。

1 はじめに  インドの教育支援を始めるきっかけとして、ある歌手のコンサート会場でのブッダガヤ出身のダルさん兄弟との出会いがあります。ダルさん兄弟はその翌日、京都市内の山本先生宅を訪問され、協力を強く要請しました。一方、山本先生は阪神淡路大震災を体験され、中でも被災地支援に赴く際に水を乞われて対応できなかつたという体験を振り返り、出来ることはすぐにと考えていました。

2 海外での教育支援の実情  日本だけでなく、発展途上にある国への民間人の教育支援は多く見られます。しかし、教育支援は始めたら無限に続けることが求められます。支援者側の都合で始めたり、終わったりしてはならないということです。しかし、現実はそうでなく、途中で支援がなくなり、学校も廃校になることが見られるのが現実です。NPO法人・日印教育支援センターは、これまで10年間の支援の中から 学校を現地の制度や力を使って永続させる方策を考えました。

3 日印教育支援センターの活動  インドの西部、ビハール州ブッダガヤで2校(カトロワ校、ギャンカップ校)の教育活動を全面的に支援しています。年間数百万円が必要です。民間の財団等から助成を得たりしながら支援しています。生徒数は2校で約600名です。カトロワ校は給食があります。ギャンカップ校はトイレも水道も電気もありません。冬は履物がないので通学できない生徒が増えます。家庭では農作業や家畜(牛、羊等)の世話、弟や妹の世話などがあり、勉強は学校にいる時だけです。それだけに大変熱心に授業に取り組んでいます。また、児童、生徒は将来に夢を持っています。その夢を実現させるためには学校で学ぶことが必要なのです。高等学校卒業は大きな資格になります。


4 今後の展望  現在は2校とも州認可の幼小中学校です。カトロワ校の施設を整備し(約1000万円)、高等学校を設置し、国の後期中等教育中央審議会(CBSE)の認可学校とします。CBSEを取得すると授業料の徴収ができます。一方、授業料無償の生徒を3割置くという留保制度があるので、現在の在学生はその枠に収めます。7割の生徒の授業料で学校を賄おうとするものです。来年開校を目指して手続きを進めています。CBSEの認可学校に移行した後は、現在行っているそろばん教育の充実など教育内容の充実や教員の質の向上、交流などの支援を進めていきたい。 

講演会後は山本先生を交え,懇親会を行いました。こちらも盛況となりました。

社会科学習会ホームページ

社会科学習会は、若手教員を中心に、中学校社会科の指導法や教材開発等について学びを深めたい人たちが集う会です。会長の峯岸誠先生(元 玉川大学教授、元全中社研会長)、岩谷俊行先生(元全中社研会長)のもと、東京都内で基本的に月一回定例会を開き、年に一回は巡検を行っています。学習会への参加は随時受け付けています。社会科の力を付けたい先生方、一緒に勉強しましょう!

0コメント

  • 1000 / 1000